危険物取扱者の試験にて出題されるアセトアルデヒド。アセトアルデヒドは、目立った特徴・性質が多い上に危険物としても知られています。そのため、しっかり性質を押さえておく必要があるのです。
この記事では、アセトアルデヒドの性質についてまとめました。
- アセトアルデヒドとは
- アセトアルデヒドの取り扱い方
- アセトアルデヒドの危険性
- まとめ
1.アセトアルデヒドとは
アセトアルデヒドには、際立った特徴が非常に多いです。この項目にて確認しておきましょう。
1-1.アセトアルデヒドの特徴
アセトアルデヒドは、第4危険物の特殊引火物に当てはまります。
特殊引火物とは、1気圧において発火点が100度以下のもの。もしくは、引火点がマイナス20度以下で沸点が40度以下のものです。非常に引火点が低いため燃え広がる可能性のあるのが特徴となります。
- アセトアルデヒド
- ジエチルエーテル
- 二硫化炭素
- 酸化プロピレン
以上の薬品は、特殊引火物に当てはまるのを押さえておきましょう。
また、発火点がもっと低いのは二硫化炭素で90度。沸点が最も低いのはアセトアルデヒドの20度です。さらに、引火点が最も低いのはジエチルエーテルでマイナス45度となっています。これら温度の比較もよく出ますので押さえておきましょう。
アセトアルデヒドは、酢酸エチルを合成する原料としても有名です。また、沸点が20度とかなり低いため、燃え広がる危険性がある物質となります。
1-2.アセトアルデヒドの性質
アセトアルデヒドは、別名エタノールとも言われる物質。非常に沸点が低いため、夏場に保存方法を間違えると燃え広がる危険があります。また、有毒な蒸気を発するのも性質です。のどや目、鼻などの粘膜を刺激する有毒な物質となっています。
無色透明な液体で刺激臭があるのも性質です。水やメタノール、ベンゼンなどの有機溶剤とよく混ざります。また、酸を加えると重合して発熱するのを知っておきましょう。
1-3.どんなときに使われる?
アセトアルデヒドは、塗料や接着剤に使われていることが多いです。アセトアルデヒドが大量に使われた塗料・接着剤が原因で頭痛やめまいなどシックハウス症候群の原因となっています。
塗料や接着剤以外では、プラスチックや合成ゴム、防腐剤などに使われているのです。
1-4.飲酒時の天敵でも有名です
アセトアルデヒドは、二日酔いの天敵として知られています。
体の中に摂取されたアルコールは、肝臓で分解する途中でアセトアルデヒドになるのです。このアセトアルデヒドは、さらに分解が進んで酢酸となります。最終的には、炭酸ガスと水になるのです。
肝臓の動きが弱いと水と炭酸ガスまで分解できません。お酒に弱い人は、アセトアルデヒドが体内に残った状態となります。アセトアルデヒドは、非常に有害な物質のひとつ。その物質が体内に残ることで吐き気や頭痛を引き起こします。
2.アセトアルデヒドの取り扱い方
アセトアルデヒドは、非常に危険で取り扱い方が大事になる物質です。この項目で取り扱い方をチェックしておきましょう。
2-1.アセトアルデヒドの保存方法
アセトアルデヒドは、しっかりと保存する必要があります。特に、引火・発火しないような配慮が必要です。絶対に火元へ近づけないようにしましょう。
また、直射日光を避けて冷暗所に貯蔵する必要があります。入れる容器は、鋼性の容器じゃないと危険です。銀や銅の場合は、爆発性の化合物を生成する危険があります。
さらに、不活性ガスを封入して保管しておかないと燃焼する可能性があるのです。しっかりと密閉しておくことも条件となります。
アセトアルデヒドは、容器に入れていても臭いがきついです。風が通る場所で換気ができることも条件となります。
2-2.アセトアルデヒドの消火方法
アセトアルデヒドを燃焼したときは、きちんとした手順で消火しましょう。
アセトアルデヒドは、自分の息や手で仰いで消してはいけません。耐アルコール泡や二酸化炭素、粉末による窒息消火が基本です。それ以外の消火方法だと燃え広がる危険性があります。
また、水による冷却消火でも大丈夫です。しかし、アセトアルデヒドは水に溶ける性質を持っているので完全に消火できない場合もあります。
3.アセトアルデヒドの危険性
アセトアルデヒドは、燃焼のしやすさ・のどなど粘膜への痛みが発生する危険物です。しかし、それ以外にも危険なことがあります。この項目にてチェックしておきましょう。
3-1.発がん性が高まる
アセトアルデヒドは、最近の研究においてがんを促すと言われています。
アセトアルデヒドは、体内に入ったアルコールを分解する途中で生まれる物質です。アセトアルデヒドを分解できる体質は個人差があります。アルコールの分解がしづらい人は、それだけアセトアルデヒドが体内に残るのです。特に、お酒を飲んで赤くなりやすい人は要注意しましょう。
アルコールを飲んで赤くなりやすい人は、食道がんになるリスクが高いと言われています。赤くなりやすい人は、お酒の摂取量を考えておきましょう。
3-2.たばこにも注意が必要です
アセトアルデヒドは、お酒だけでなくたばこにも含まれています。お酒を飲みながらたばこを吸う人は多いでしょう。しかし、2つを同時に摂取することで体内のアセトアルデヒドの量が上がってしまいます。
また、アルコールとニコチンを同時に取ると二日酔いにもなりやすいです。お酒とたばこを同時に取るのは控えましょう。二日酔い・発がんリスクの上昇といいことはありません。
3-3.シックハウス症候群の原因にもなります
新築やリフォームした家に入居したとき、目やのどに異常を覚える人がいます。それ以外にもめまいや吐き気、頭痛、不眠などの症状が出ることもあるのです。このような症状を「シックハウス症候群」と言います。アセトアルデヒドは、その症状の一因とも言われているのです。
シックハウス症候群は、建材や家具からアセトアルデヒドが発生すると言われています。ほかにも喫煙やカビ、ダニなどによる汚染も原因と考えられているのです。この「シックハウス症候群」は、まだ解明されていない部分もあります。
3-4.化学物質過敏症の原因
さきほど紹介したシックハウス症候群は、化学物質からの影響が大きいとも言われているのです。化学物質に対して過剰反応する人は、化学物質過敏症と診断することがあります。
化学物質過敏症は、たばこや香水の臭い、排気ガス、空気が悪いところで過ごすことで体調が悪くなる症状です。体調だけでなくせきや頭痛などのアレルギーが出ることもあります。
化学物質過敏症に対しては、まだ明確なことが分かっておらず治療法も確立していません。また、厚労省によって正式な病名を認定されていないので治療できるドクターも限られています。
4.まとめ
いかがでしたか?
この記事では、アセトアルデヒドの性質を中心にまとめました。
アセトアルデヒドは、特殊引火物に分類されます。その中でも沸点が低いため、すぐに燃え広がる危険な物質です。また、刺激臭と共にのどなどの粘膜に痛みを与える性質もあります。
アセトアルデヒドは、鋼性の容器に密閉して保管する必要がある物質です。また、風が通る冷暗所に保管する必要があります。アセトアルデヒドを使用して消火するときは、耐アルコール泡や二酸化炭素、粉末による窒息消化が基本です。水で消す場合は、冷却消火だけ有効となります。