何か資格を取りたい、という時に名前が上がることの多い「危険物取扱者」。では、この危険物取扱者試験の申し込みはどうすればよいのでしょうか?
そこで今回は、危険物取扱者試験の願書の入手方法や書き方、申し込み方法などをご紹介しましょう。危険物取扱者試験の勉強方法はいろいろなサイトが製作していますが、申し込み方法を解説しているサイトは意外と少ないものです。これから危険物取扱者の資格を取得したいという方は、ぜひ読んでみてくださいね。
- 危険物取扱者について
- 危険物取扱者の種類は?
- 危険物取扱者試験の申し込み方法は?
- 合格発表について
1.危険物取扱者について
危険物取扱者とは、消防法で規定されている危険物の取り扱いや保安監督業務を行うことができる国家資格です。危険物にはそれぞれ指定数量が定められており、指定数量以上の危険物の取り扱いや貯蔵を行っている場所では、有資格者の選任が必要になります。
危険物取扱者には、甲種・乙種・丙種の3種類があり、甲種はすべての危険物の取り扱いや保安監督業務を行うことのできる資格です。乙種は、取得した類の危険物の取り扱いや保安監督業務を行うことができます。丙種は、危険物第4類の引火性液体のうち、灯油やガソリンなど限られた物質を取り扱うことのできる資格です。
資格を活用して働くならば、甲種・乙種の取得を目指しましょう。危険物取扱者を求めている職場というとガソリンスタンドが有名ですが、それ以外にも化学工場や暖房用の燃料として危険物を貯蔵してある施設・石油プラントなど、有資格者を求めている職場はたくさんあります。資格を取得していれば、資格手当を就ける職場も多いでしょう。乙種の場合は複数の類を取得しておくと就職や転職により有利です。
2.危険物取扱者の種類は?
申し込み方法をご紹介する前に、まずは危険物取扱者の種類についてご紹介します。危険物取扱者の受験資格などはあるのでしょうか?
2-1.甲種のみ受験資格が必要
危険物取扱者は、甲種、乙種、丙種の3種類があります。
そのうち甲種のみ以下のような受験資格が必要です。
- 大学で化学を専攻し、卒業するか15単位以上の単位を得たもの
- 乙種の免許を受け2年以上の実務経験を有するもの
- 第1類または第6類、第2類または第4類、第3類、第5類の乙種免許のうち4種類以上を有するもの
- 修士、もしくは博士の課程を持ち化学の事項を専攻したもの
全く何もない状態から危険部取扱者を受験したい場合は、まずは乙種を受験しましょう。ちなみに乙種のすべての類をとっても甲種と同じ扱いになります。
2-2.乙種4類だけ合格率が低いのはなぜ?
危険物取扱者の代名詞といえば、乙種4類、通称「乙4」です。これは乙4をとるとガソリンや灯油、軽油類といった我々にとって一番身近な危険物を取り扱えるうえに、ガソリンスタンドを経営するには必ず必要な資格だからです。ですから、受験者も乙種の類の中でダントツに多いのです。危険物取扱者の合格率が乙種4類だけ3割前後と極端に低いのも、受験者数の多さが原因です。受験者数が多ければ、それだけ合格率も下がります。乙種4類だけ難易度が高いということはありません。
国家資格のサイトを見ると、危険物取扱者の難易度は「ふつう」で、参考書を買って真面目に勉強すれば、予備校に通うなど特別なことをしなくても合格ができるレベルです。
3.危険物取扱者の試験内容について
危険物取扱者の試験は、消防試験研究センターが主催しています。試験内容は、
- 危険物に関する法令
- 物理および化学 (丙種のみ、燃焼及び消火に関する基礎知識)
- 危険物の性質並びにその火災予防および消火の方法
の3科目で、1科目につき6割以上の得点で合格です。また、乙種を取得している方が別の類を取得する場合などは、一定の科目免除があります。詳しくはセンターのホームページを確認してください。なお、乙種や丙種に受験資格は定められていませんが、甲種は乙種を取得した後で一定の実務経験を積む、乙種を複数取得するなど受験資格があります。詳しくは、センターのホームページを確認してください。
危険物取扱者の勉強方法には、独学や通信教材の利用があります。社会人にも人気の資格なので、参考書や問題集もたくさん発売されていますので、利用してみてもよいでしょう。独学の基本は、参考書を読んで問題集を解くことです。物理や化学もそれほど難しい問題は出題されません。高校までの化学と物理の知識があれば十分でしょう。
4.危険物取扱者の申し込み方法は?
この項では、危険物取扱者の申し込み方法の流れをご紹介していきます。願書の入手方法から試験を受ける際の注意点までご説明しましょう。
4-1.危険物取扱者の試験日程は?
危険物取扱者の試験は前期と後期に分かれており、春と秋に実施されます。つまり年に2回チャンスがあるのです。前期は4月~6月、後期は9月~翌年3月あたりに試験が行われます。詳しい日程は(財)消防試験研究センターのホームページ上に掲載されていますので、参考にしましょう。前期に失敗した人が後期に再び受験をすることも可能ですし、1日に複数の乙類の試験も受けられます。
ただし、乙種と丙種、甲種と乙種といった異なる種類の試験は受けられないので注意しましょう。試験会場は大学や専門学校などを借りて、土日祝日に行われます。都市部の会場は人でいっぱい、トイレに行くにもままならない、ということも多いので受験する際は余裕をもって会場に到着するようにしましょう。
また、冬に雪国で試験を受ける際には天候で試験が受けられないということもありますので、できれば前期に受けたほうがよいですね。
4-2.願書の入手の仕方
危険物取扱者の願書は(財)消防試験研究センターの中央試験センターや各支部、そして消防署で取り扱っています。センターの近くにお住まいの方はセンターに、それ以外の方は消防署でもらえばよいでしょう。お近くの消防署で「危険物取扱者の願書をください」といえば渡してもらえます。複数の類を受験するという場合は、願書も複数必要ですので注意しましょう。なお、願書は全国共通ですから、どの県でもらっても大丈夫です。
4-3.願書の書き方
願書には、住所・氏名・年齢などが書く欄がありますので、ボールペンで正確に記入しましょう。運転免許証や住民票を参考にすれば間違いありません。
その他、顔写真や受験料を振り込んだ証明書、乙種の他の類を取得している場合は免状のコピーが必要です。なお、免状は10年ごとに顔写真の更新が必要の他、住所や氏名が変わった場合も更新が必要です。更新を行っていないという人は、まずは更新する必要があるので気をつけましょう。
また、書き損じた場合は書き直しが基本です。そして、顔写真が万が一はがれた場合のことを考えて、顔写真の裏には住所と氏名を記載しておきましょう。
4-4.願書提出の仕方
危険物取扱者の願書は、簡易郵便で送る方法と、直接持ち込む方法、さらに電子申請する方法の3種類があります。電子申請は(財)消防試験研究センターのホームページで行えます。
送付先も同じホームページに書いてありますので必ず確認して送りましょう。電子申請はペーパーレスなので手軽ですが、パソコンに不慣れな方が行うと、申し込んだつもりで申し込んでいなかったという場合があるので注意しましょう。
また、公共施設のパソコンで申込を行うと、個人情報が公になることもあるので、必ず個人のパソコン、もしくはタブレットで行ってください。
願書が無事に受理されれば、試験日の10日前までに受験票が送られてきます。この時期を過ぎても受験票が送られてこない場合は、郵便事故の可能性があるので、必ず消防試験研究センターに問い合わせをしましょう。
5.合格発表について
それでは最後に、危険物取扱者の合格発表の仕方をご紹介ます。危険物取扱者の合格発表は(財)消防試験研究センターのホームページ上で発表されます。発表当日はアクセスが殺到してページが重くなることがありますので、時間をずらして閲覧するとよいですね。
また、後日郵送で結果が送られてきますので、数日間は郵便物に注意しましょう。さらに、合格しても危険物取扱者の資格はまだ取得できていません。合格をされた方はは、すぐに免許交付の手続きを行ってください。指定された金融機関で印紙を買って(財)消防試験研究センターに郵送すれば免許が送られてきます。
これで初めて危険物取扱者の免許を取得したことになります。期限を過ぎても資格取得ができないわけではありませんが、時間がかかりますので、必ず期限までに取得の手続きを行いましょう。
6.危険物取扱者試験に関するよくある質問
Q.危険物取扱者の試験は、在住している都道府県以外で受験してもいいですか?
A.はい。問題ありません。
Q.危険物取扱者の試験は、1年に何回まで受けることができますか?
A.回数制限はありません。何度でも大丈夫です。
Q.義務教育に通っている年齢でも試験を受けることはできますか?
A.はい。大丈夫です。
Q.1回の試験で複数の類を受験することは可能でしょうか?
A.はい。できます。ただし、都道府県によって一度に受験できる数が異なります(例:東京都は2つまで)。また、試験日によっては、乙種4類しか受験できないというところもありますので、注意しましょう。詳しくは、受験をする都道府県のセンター支部に問い合わせてください。
Q.試験の科目免除を申請する場合は、電子申請を行うことはできますか?
A.できません。願書に必要な書類を添付して郵送してください。
7.おわりに
今回は危険物取扱者の願書の入手方法や試験の申し込みの方法をご紹介しました。
まとめると
- 危険物取扱者の試験は年に2回行われる
- 願書は最寄りの消防署もしくは、(財)消防試験研究センターでもらえる
- 電子申請は簡単だが、パソコンに不慣れな方は注意して申し込むこと
- 試験日10日前までに受験票が送られてこなければ問い合わせること
- 合格したら免許交付の手続きを忘れないこと
ということです。危険物取扱者の資格は働きながら受験される方も多いでしょう。ですから、仕事などが忙しいとつい申し込みを忘れることもあります。消防署は土日祝日でもあいていますし、試験日1カ月前から受験の申し込みは開始されます。何事も早め早めに申し込んで、落ち着いた気持ちで試験にのぞみましょう。
なお、受験会場が行ったことのない場所ならば、下見をしてもいいですね。さらに、交通機関も調べておきましょう。場所によっては交通の便が悪い場合もあります。