毒劇物を保管する正しい方法とは? 知っておくべき4つのポイント

劇毒物

世の中には約150万種もの化学物質が存在しています。
その中でも工業や農業、試薬品など社会の発展に役立つ物質でなおかつ毒性の強いものは「毒物及び劇物取締法」で毒物や劇物に指定されています。
では毒物や劇物の保管方法はどうすればよいのでしょうか?
そこで今回は毒劇物の管理や保管についてご紹介します。
毒物劇物取扱の方法は厳しく定められていますが、違反した場合は何か処罰はあるのでしょうか?
毒劇物の取り扱い方法を知りたいという方や、危険物取扱者の資格を取りたいという方はぜひ読んでみてくださいね。

目次

  1. 毒劇物とは?
  2. 毒劇物を保管する方法とは?
  3. 万が一毒劇物が盗難にあったり流出した場合は?
  4. 毒劇物を廃棄する場合はどうするの?

1 毒劇物とは?

この項では、毒劇物の定義や取り扱い方法、保管方法などをご紹介します。
我々の身近にも毒劇物はたくさんあるんですよ。

1-1.毒劇物の定義とは?

世の中に約150万種ある化学物質のうち、農薬や試薬、工業製品の原料などの社会経済に有意義なものでありながら、毒性が強く、急速に健康被害が出る物質は毒物及び劇物に指定されています。
これらは「毒物及び劇物取締法」によって扱いや売買、保管方法などが厳しく規制されています。

1-2.毒劇物の規制とはどういうこと?

毒劇物は、取り扱いを間違えると多くの人に健康被害を与える可能性があります。
また、犯罪に利用された場合は、大事件につながることもあるしょう。ですから、

  • 製造、輸入
  • 販売
  • 取扱

をする場合は、知事や厚生大臣に届け出をしなくてはなりません。
もし、勝手に毒劇物を販売したり製造した場合は、3年以下の懲役か200万円以下の罰金を払わなければなりません。

1-3.毒劇物を取り扱うには?

毒劇物を取り扱う場合は、薬剤師の資格保持者、厚生労働省令で定める学校で、応用化学に関する学課を修了した者、毒物劇物取扱者試験に合格した者を置く必要があります。
資格保持者を「毒物劇物取扱責任者」と定めた上で知事や厚生大臣に届け出を出して初めて毒劇物が取り扱えたり、製造したりできるのです。
ちなみに我々の最も身近にある毒劇物を販売する場所は薬局です。
「薬局でどうして毒劇物を販売するの?」と思う方もいるでしょう。
薬局で販売される毒劇物は主に殺虫剤や殺鼠剤(さっそざい)です。ある種の殺虫剤や殺鼠剤は人間にとっても猛毒なのですね。
販売する際は免許書などの身分証の提示や住所氏名の記入が必要です。

2 毒劇物を保管する方法とは?

では、毒劇物を保管、管理する方法はどのようなものでしょうか?
この項ではそれをご紹介します。

2-1.保管庫は専用のものを設ける

毒劇物は、その他の無害な物質と一緒に保管してはいけません。
必ず専用の保管庫を用意し、土地の境界線から十分に離して保管しましょう。
また、柵を設けたり施錠したりして、一般人が毒劇物に近づけないようにすることも大切です。
さらに、保管庫には「医薬用外毒物」「医薬用外劇物」の札を下げましょう。

2-2.地震や災害にあったときの対策をする

地震や災害にあって保管庫が破損した場合でも、毒劇物が外に流れていかないように処置をしておくことも必要です。
たとえば保管庫の土に毒劇物がしみこまないようにコンクリートを敷く、などの処置ですね。
また、地震が起きた際に毒劇物を保管している容器が倒れたり、壊れたりしないように処置をしておくことも大切です。

2-3.毒劇物の容器は他の容器と区別する

毒劇物を入れておく容器は他の容器と一目でわかるように区別することが大切です。
たとえ一時的であってもペットボトルのようなものに入れておいてはいけません。一目で毒劇物と分かるようなものが理想です。

3-3.容量は定期的にチェックする

液体や粉末状の毒劇物の場合、こっそり中身だけ抜きだされた場合は発覚が遅れることもあるでしょう。
ですから、定期的に毒劇物の量をチェックしましょう。
万が一使用した形跡がないのに毒劇物が減っていることがあれば、至急その原因を調べる必要があります。

3 万が一毒劇物が盗難にあったり流出した場合は?

毒劇物が盗難にあった場合はすぐに警察署、消防署、保健所に連絡をしなくてはなりません。
毒劇物が盗まれて犯罪につかわれた場合は中毒者が出たり、大規模な火災が起きるかもしれません。
ですから警察署だけでなく、消防署と保健所にも連絡をしなければなりません。
また、その場合の通報は必ず毒劇物の取扱責任者が行ってください。
一般の社員では対処法がわからずに正確な情報が伝わらない場合もあります。
危険物が流出した場合はすぐにあたり一帯を立ち入り禁止にして避難を勧告します。
また、消防と警察に連絡して防護服を用意し、中和剤をまける場合はまきましょう。
被害が起こらないうちに対処することが大切ですよ。
なお、消防が到着した場合は始末の仕方を伝える義務もあります。

5 毒劇物を廃棄する場合はどうするの?

では最後に毒劇物を廃棄する方法をご紹介します。
間違っても不用意に捨ててはいけません。また、入っていた容器の廃棄にも注意が必要です。

5-1.毒物劇物でないものにしてから捨てる

毒劇物は中和したり、希釈したりすれば毒性がなくなるものもあります。
そのようなものは毒性がなくなる処置をした上で捨てましょう。
なお、この毒性を取り除く作業も毒劇物の取扱責任者が行うか、監視しておく必要があります。

5-2.下水道や大気を汚さないように注意する

たとえ毒劇物を無害なものにしても、不用意に下水道に流したり空中に放出してはいけません。
法律に抵触する恐れがあります。万が一中和したものとはいえ毒劇物を下水道に流してしまった場合はすぐに保健所に届けましょう。

5-3.専門の業者に処分を委託する

毒劇物を処分する際には専門の業者に依頼するのが一番確実な方法です。
この業者も知事の認可を受けた正式な業者に頼みましょう。
許可がない業者に依頼をした場合は依頼をした側も罰せられることもあります。
業者に引き渡しまでは毒劇物は必ず鍵のかかった保管庫に保管し、野外に野ざらしにしておいてはいけません。

5-4 容器の処分も気を付けて

毒劇物が入っていた容器も有害物質になります。
決して一般のゴミと一緒に捨ててはいけません。
たとえ無害なものであっても専用のゴミ箱に捨てて業者に処分を依頼しましょう。
なお、容器を不用意に燃やしたり、別のものを入れて再利用したりすると罪になる可能性があります。

おわりに

いかがでしたでしょうか。今回は毒劇物の保管、管理の方法をご紹介しました。
まとめると

  • 毒劇物を取り扱うには知事や厚生大臣の認可が必要
  • 薬剤師などの一定の資格を持つ人を毒劇物取扱主任者に任命し、毒劇物の管理を任せなければならない
  • 毒劇物は鍵のかかった保管庫に保管し、一般人が触れないようにする
  • 万が一盗まれたり流出した場合はすぐに警察署、保健所、消防署に連絡する
  • 廃棄する場合は専門の業者に頼む

ということです。毒劇物は意外に我々の近くに存在しています。
ちょっとした化学薬品を扱う工場やお店、さらに化学系の科がある大学にも毒劇物は存在しています。
ですから万が一にも事故が起こらないように厳重な管理体制が必要なのですね。
もし、毒劇物を保管してある倉庫の鍵が壊されていたり、中から何かが漏れ出しているのを発見したらすぐに毒劇物管理責任者に連絡をしましょう。不用意に毒劇物を管理している場所に入ったり、こぼれだしたものを処理しようとしてはいけません。

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