ガソリンスタンドは地震が起きても大丈夫? 爆発することはないの?

日本は世界で最も地震が多い国のひとつです。
特に、ここ20年の間には2度の大震災が起きて、多くの被害が出ました。
地震に対する備えをしている方も、たくさんいるでしょう。
「家の近くにガソリンスタンドがあるけれど、地震のときは大丈夫なのか?」と不安に思う方もいるかもしれません。
そこで、今回はガソリンスタンドの地震対策について、ご説明しましょう。
東日本大震災のときに石油コンビナートが爆発、炎上した映像を見た方も多いと思います。
ガソリンスタンドも爆発する危険性はあるのでしょうか?
興味がある方はぜひ読んでみてくださいね。

目次

  1. 震災時、ガソリンスタンドはどのような被害を受けた?
  2. ガソリンスタンドの構造とは?
  3. 地震が起きたらガソリンスタンドに避難すればよいって本当?
  4. 地震が起きた際、ガソリンスタンドには役割がある
  5. ガソリンを携帯する際の注意点
  6. おわりに

1.震災時、ガソリンスタンドはどのような被害を受けた?

日本は、ここ20年の間に「阪神淡路大震災」と「東日本大震災」という2度の大地震が起きています。
特に、阪神淡路大震災は「直下型地震」でしたから、激しい縦揺(たてゆ)れが狭い地域を襲いました。
しかし、阪神淡路大震災でも東日本大震災でもガソリンスタンドが倒壊したという報告はありません。
東日本大震災で爆発・炎上したのは石油コンビナートであり、ガソリンスタンドではないのです。
つまり、日本のガソリンスタンドは非常に地震に強い構造をしているといえるでしょう。

2.ガソリンスタンドの構造とは?

ガソリンスタンドは、地震以外の災害にも火災や爆発が起こらないように工夫されています。
この項では、ガソリンスタンドの構造についてご説明しましょう。

2-1.ガソリンが貯蔵されている場所とは?

ガソリンスタンドで販売されているガソリンは、地下に貯蔵されています。
しかも、タンクの材質や厚さ、耐久性などは法律でしっかりと基準が決められているのです。
地下に貯蔵タンクがあれば、たとえ大地震が起こってもタンクが倒壊してガソリンがもれる心配はありません。
万が一貯蔵庫からガソリンをくみ上げるポンプなどが壊れたりしても、タンクが壊れなければ修復は可能です。
また、ガソリンスタンドでは通常電気でポンプを動かしてガソリンをくみ上げています。
しかし、震災時に電気が止まることも考えて、手動でもガソリンを供給できるようになっているのです。
そのおかげで、東日本大震災のときも震災後2日目から、営業を再開できたガソリンスタンドも少なくありませんでした。

2-2.建物も頑丈に作られている

しかし、ガソリンスタンドの建物が倒壊したり出火したりすれば、地下の貯蔵タンクもダメージを受ける可能性があります。
そうならないように、ガソリンスタンドの建物は鉄骨入りの頑丈な造りになっているのです。
また、ガソリンスタンドの多くは平屋。高層建築よりも平屋の方が地震に強いのです。
さらに、ガソリンスタンドは建物の大きさの割には敷地を広くとっています。
これは、車が給油しやすいようにするためだけでなく、万が一近隣で火災が発生した際に、建物への延焼を防ぐためです。

2-3.防火対策も万全

ガソリンスタンドには、必ず周囲に壁が築かれています。
これは単なる壁ではありません。
防火壁といって万が一ガソリンスタンドから火災が発生した場合、周囲に燃え広がるのを食い止める役割を担っています。
また、反対に周囲で火災が起きてもガソリンスタンドに延焼しないようにする役割もあるのです。
さらに、ガソリンスタンドの中には法律で定められた消火設備が設置されています。

2-4.セルフのガソリンスタンドは大丈夫?

「でも、セルフのガソリンスタンドは大丈夫なの?」と心配に思う人もいるかもしれません。
しかし、セルフのガソリンスタンドは自分で給油するシステムというだけで、無人販売店ではないのです。
ガソリンスタンドのように多量の危険物を販売したり取りあつかったりする施設には、必ず「危険物取扱者」の資格所有者を置かなければいけません。
ですから、ガソリンスタンドが営業中は無人になることがないのです。安心してください。

3.地震が起きたらガソリンスタンドに避難すればよいって本当?

インターネットを検索すると、地震が起きたらガソリンスタンドに避難するように書いてあるサイトも見つかります。
確かに、ガソリンスタンドは建物が丈夫ですし、敷地も広いです。
さらに防火壁も消防設備もありますから火災が起きた際もある程度は安心でしょう。
しかし、ガソリンスタンドは避難所ではありません。
地震が起きた際にとっさに逃げこむならばよいのですが、地震が収まって周囲の安全が確認できたら自治体で指定された避難所に移動してください。
また、給油中に地震が起きたら安全装置が作動して給油が停止されます。
そのまま店員の指示に従うか、セルフスタンドの場合は給油口を閉めて地震が収まるまで待ちましょう。
パニックになって車を発進させないようにしてください。

4.地震が起きた際、ガソリンスタンドには役割がある

大きな地震が起きた場合、被災地には復興や救援のためにたくさんの車両が必要です。
ですから、ガソリンスタンドに貯蔵されているガソリンは、緊急車両に優先して給油されます。
東日本大震災の際も、ガソリンスタンドに長い行列ができました。
震災が起こると、ガソリンは最も不足するもののひとつです。
ですから、ガソリンが少なくなってきたら早目に給油しましょう。
また、震災後に慌てて給油に行っても給油の量に制限がかかっていることも多いです。
ですから、車やバイクのタンクには常にガソリンを入れておきましょう。

5.ガソリンを携帯する際の注意点

では最後に、ガソリンを携帯する際の注意点をご紹介します。
「地震に備えて灯油のようにガソリンを備蓄しておきたい」という方もいるでしょう。
しかし、ガソリンの携帯には注意が必要なのです。

5-1.ポリタンクで携帯しない

灯油を保管する樹脂製のポリタンクで、ガソリンは保管や携帯ができません。
ガソリンの成分でポリタンクが破損したり変形したりする場合もあります。
また、ガソリンは大変揮発性の高い危険物ですから、ポリタンクに入れておくとどんどん蒸発してしまうでしょう。
しかも、蒸発したからといって消えてなくなるわけではありません。
ポリタンクの周囲には、引火性の高い気体となったガソリンが漂っているのです。
そんなところに火を近づければ、爆発を起こすでしょう。
ですから、ガソリンは必ず専用の携帯容器に入れてください。

5-2.ガソリンを備蓄したい場合は?

ガソリンは引火性が高い危険物ですので、普通の住宅で備蓄するのはあまりお勧めできません。
しかし、どうしてもという場合は缶詰のようにパッケージされたガソリンを備蓄しておきましょう。
これならば、揮発する心配はありません。
ガソリンの携帯容器も揮発を完全に防げるわけではありませんから、備蓄するには不向きです。
ただし、ガソリンもいたんだり変質したりします。
保管期限の切れたガソリンの缶はガソリンスタンドで処分してもらいましょう。

6.おわりに

いかがでしたか?
今回はガソリンスタンドの地震対策についてご説明しました。
まとめると

  • ガソリンスタンドは地震が起きても火災や爆発が起きないように設計されている。
  • ガソリンの貯蔵容器は地下にあるため、地震が起きても燃える心配は少ない。
  • ガソリンスタンドの建物も頑丈にできているので倒壊する可能性は低い。

ということです。
地震が起きてもガソリンスタンドから出火したり爆発が起きたりする可能性は低いでしょう。
しかし、だからといって地震で火災が発生しているときに、ガソリンスタンドの付近へは近寄らないようにしてください。

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