硝酸アンモニウムは、「硝酸」と「アンモニウム」が混ざってできる物質です。
主に、火薬や爆薬に使用することが多く、危険物の1つでもあります。
取り扱うときは十分に注意しなければなりません。
そこで、硝酸アンモニウムの特徴・性質・用途や取り扱い方、注意点について説明します。
危険物取扱者資格取得のために勉強している人は、ぜひ参考にしてください。
- 硝酸アンモニウムの特徴・性質・用途
- 硝酸アンモニウムの取り扱い方
- 硝酸アンモニウムの注意点
- まとめ
1.硝酸アンモニウムの特徴・性質・用途
硝酸アンモニウムは、「硝酸アンモン」や「硝安(しょうあん)」とも呼びます。
危険物の1つである硝酸アンモニウムの特徴・性質・用途について説明しましょう。
危険物を正しく取り扱うためには、物質について詳しく把握しなければなりません。
1‐1.熱を加えると水・亜酸化窒素になる
硝酸アンモニウムは、熱を加えると「水」や「亜酸化窒素」に分解する点が特徴になります。
基本的に、硝酸アンモニウムは無色の結晶性粉末です。
水は私たちの身近な液体ですが、亜酸化窒素は非常に有毒な物質になります。
一酸化二窒素・笑気ガスとも呼び、私たちに悪影響をおよぼすでしょう。
およそ210℃の熱で分解しますが、さらに過熱すると「窒素」と「酸素」に分解します。あっという間に分解がすすみ、爆発する恐れも出てくるでしょう。
また、加熱以外にも衝撃によって爆発を起こすので注意しなければなりません。
1‐2.水より重く、吸熱反応を起こす
硝酸アンモニウムは、水より重い性質を持っています。
比重は1.8と水より重く、そして、溶けやすいのです。
水以外にも、エタノール・メタノールに溶けやすい性質があります。水に溶けやすいことから“吸熱反応”を起こしやすいところも特徴的です。
硝酸アンモニウムに水酸化バリウムを混ぜると、吸熱反応が起きます。
有名な反応としては、反応系の温度が下がることです。強酸の物質と混ざってしまえば、爆発が起こるので注意しなければなりません。
よって、火災・爆発を防ぐためには強酸のないところで保管することが大切です。
保管場所に強酸のような強い物質があると、混合危険の恐れがあります。
硝酸アンモニウムの特徴・性質を把握しなければわからないでしょう。
1‐3.硝酸アンモニウムの用途とは
危険物にはそれぞれ使い道があります。
製造業や実験などで使用することがほとんどですが、使うときは決まっている量を守らなければなりません。
規定の量を守ることで安全が確保できます。
気になる硝酸アンモニウムの使い道ですが、主に「火薬」や「爆薬」として使うことが多いです。
火薬・爆薬といっても花火などに使用します。硝酸アンモニウムは、ほかの物質の燃焼をうながすことができ、別の物質と混ぜて使用することが多いです。
たとえば、TNT(トルニトロトルエン)と混ぜると“アマトール”という物質になります。また、冷却材や農薬としても使用可能です。
「農薬に使えるの?」と疑問に感じますが、硝酸アンモニウムは立派な肥料の1つになりますよ。
危険物でもさまざまな使用用途があること覚えておいてください。
2.硝酸アンモニウムの取り扱い方
2‐1.気をつけておきたい硝酸アンモニウムの取り扱い方
危険物の1つである硝酸アンモニウムの取り扱いには十分な注意が必要です。
火薬・爆薬に使用する危険な物質になります。取り扱いを誤ってしまうと事故を起こす可能性もあるので要注意です。
安全のためにも取り扱い方をきちんと把握しておきましょう。
基本的な取り扱い方は、熱から遠ざけることです。
加熱すると危険なので、熱から遠ざけた場所で取り扱わなければなりません。
また、硝酸アンモニウムを取り扱うときは保護用具が必要になります。
保護手袋やメガネ、保護面を必ず着用してください。
そして、屋外・屋内でも換気ができる場所での取り扱いが好ましいです。
硝酸アンモニウムの粉じんを吸入しないよう心掛けてくださいね。
保護用具を身につけていても取り扱い後は必ず手洗いをしましょう。
念には念を、取り扱いには細かいところまで注意を払ってください。
2‐2.いざというときの対処法をチェック
硝酸アンモニウムの取り扱い方は、いざというときの対処法も把握しなければなりません。
もし、粉じんを吸引したときは空気が新鮮な場所にすぐ移動しましょう。
そして、リラックスしながら呼吸しやすい態勢で新鮮な空気を吸い取ってください。
目に入った場合は15分以上水で洗うことが大切です。
ゴシゴシこすってしまっては余計に悪化してしまいます。
コンタクトレンズをしている場合は、取りはずしたほうが最適です。
皮膚についた場合はすぐに水と石けんで洗い流してください。洋服についた場合もすぐに着替えることがポイントです。
いざというときのためにも、対処法をしっかり把握しておけば安心に取り扱うことができます。
3.硝酸アンモニウムの注意点
3‐1.安心して保管できる場所を確保する
取り扱い方はもちろん、硝酸アンモニウムの“保管場所”にも注意が必要です。
保管場所は加熱・衝撃・摩擦のないところを選んでください。
加熱をすることで有毒ガスが発生します。
よって、熱のない場所で保管しなければなりません。
また、衝撃や摩擦もできるだけ避けましょう。衝撃に弱い物質なので、少しの衝撃でも爆発を起こしてしまいます。
摩擦は熱に変わるので要注意です。
そして、強酸と接触のない場所に保管してください。
強酸と混ざる場所では「混合危険」の恐れがあります。保存場所を選びつつも、保管容器は「密封」が大切なポイントです。
密栓して保存することが、火災予防の1つになります。
もし、火災が起きた場合は“水”を使用した消化方法になるでしょう。
物質の特徴・性質によって消化方法も異なります。硝酸アンモニウムを使う際は、消化方法もきちんと把握してくださいね。
3‐2.硝酸アンモニウムにかかわるものの処分法
内容物や容器を処分するときも注意が必要です。
硝酸アンモニウムに関係するものは、すべて都道府県の許可を受けた廃棄物処理業者に依頼してください。
きちんと許可をもらっている専門の廃棄業者でなければ安心できません。
間違った方法で処分すれば事故につながります。
使うときはもちろん、処分方法にも注意をしてください。
危険物は取り扱い方、火災予防、消火方法、処分法までしっかり管理しなければなりません。
たった1つのミスが大事故、命にまでかかわる危険があります。危険物を取り扱うことはよほどの注意が必要になるのです。
4.まとめ
硝酸アンモニウムの特徴・性質・用途、取り扱い方、注意点について説明しましたが、いかがでしたでしょうか。
硝酸アンモニウムなどの危険物にはそれぞれ特徴があります。安全に取り扱うためには、知識が必要不可欠です。
危険物取扱者にとっては、大切な要素になるでしょう。幅広い危険物の知識はもちろん、事故を防ぐ対策法を把握しなければなりません。
正しい対策ができるかどうかは、成分の知識が豊富かどうかにつながっています。
自分で毎日続けやすい勉強法をつかみ、危険物の知識を増やしていきましょう。
たとえ、仕事をしていても自分のペースで勉強できる「通信講座」もあります。
通信講座は試験に必要な内容が詰まっているので、効率的に勉強できるでしょう。