潤滑油とは、機械の歯車などをよりスムーズに動かすために使われる油の一種です。
自動車に使われるエンジンオイルも、潤滑油の一種になります。
今回は、潤滑油の種類や危険物としての取り扱い方をご紹介しましょう。
「油」がついていることからも分かるように、潤滑油も可燃性や引火性があります。
ですから、大量に保管したり取り扱ったりする場合は注意が必要です。
また、少量でも扱い方が悪ければ火災の原因になることもあるでしょう。
この記事を読んで取り扱い方の参考にしてください。
- 潤滑油の役割や種類とは?
- 潤滑油の危険性とは?
- 潤滑油の保管方法や取り扱い方法とは
- おわりに
1.潤滑油の役割や種類とは?
この項では、潤滑油の役割や種類についてご紹介します。
いったいどんな種類があるのでしょうか?
1-1.潤滑油の役割とは?
潤滑油といえば、機械の滑りをよくするために使われるものというイメージがあります。
もちろん、それも潤滑油の役割のひとつです。
しかし、このほかにも機械を冷やしたりさびにくくしたりする効果があります。
ですから、歯車など常に動いている部品以外にも、使われることもあるでしょう。
1-2.潤滑油の特徴とは?
潤滑油は常に動いているもの、つまり摩擦(まさつ)が発生するところに使われることが多いです。
ですから、摩擦(まさつ)力で発火するような油であってはいけません。
また、ある程度粘りがなければ、潤滑油の役割を果たせないでしょう。
ですから、潤滑油は沸点が高く、長時間粘度が変わらない性質が求められます。
そのため、既存の油に複数の添加物を入れて、沸点を高めたり粘度を上げたりするのが一般的です。
この添加物の中には体に有害なものも多いですので、潤滑油は素手ででは扱わないようにしましょう。
また、エンジンオイルなど一般の家庭でも保管可能な潤滑油は、子どもの手の届かないところに保管しておくことが大切です。
1-3.潤滑油の種類とは?
潤滑油に使われている油は、植物性のもの、動物性のもの、石油に代表される鉱物性のもの、さらにそれらを混ぜ合わせた合成のものがあります。
また、潤滑油は大きく分けて並級潤滑油と高級潤滑油のふたつに分類されるのです。
ちなみに、高級潤滑油とは値段が高かったり、高級な油が使われていたりするというわけではありません。
並級潤滑油とは、添加物を使用していない潤滑油のこと。
ですから、扱い方は簡単ですが性能が限られているのです。
変圧器などに使われている絶縁油は、並級潤滑油になります。
一方、高級潤滑油は添加剤を加えてより高い性能を持った潤滑油のことです。
現在の潤滑油の9割以上がこの高級潤滑油に分類されています。
2.潤滑油の危険性とは?
この項では、潤滑油の危険性についてご紹介します。
消防法による危険物には該当するのでしょうか?
2-1.潤滑油は危険物に該当するのか?
危険物とは、消防法で定められた不用意に保管をしたり取り扱ったりすると爆発や発火視野類物質のことです。
潤滑油の原料のひとつである石油は、危険物第4類である引火性液体に分類されています。
引火性液体とは、文字どおり炎を近づけると容易に発火する液体のこと。
特に、ガソリンは揮発性が高く、引火点が21度未満と常温でも火の気を近づければたやすく発火します。
ですから、保管方法なども厳しく定められて指定数量以上を扱うには、危険物取扱者の資格が必要です。
では、潤滑油はどうでしょうか?潤滑油は、確かに引火性があります。
しかし、添加物などを加えて発火点が高くなっていたり引火しにくくなる処置が施されていたりするのです。
ですから、一部の軽油を使った製品を除いて、大部分の潤滑油は、危険物に指定されていません。
製造したり保管したりする場合でも、危険物取扱者の資格保持者の常駐は必要ないでしょう。
2-2.危険性がゼロではない
さて、潤滑油は油の中では引火点や発火点が高いのが特徴、と前述しました。しかし、高いだけで発火や引火をしないわけではありません。逆に、危険物に指定されていないからこそ、保管方法や取り扱い方法が甘くなることもあるでしょう。
油は、あくまでも油なのです。
ですから、引火したり発火したりしないように気をつけて保管しなければなりません。
その方法を次の項で詳しくご紹介します。
3.潤滑油の保管方法や取り扱い方法とは
では、潤滑油の保管方法や取り扱いの注意点はどのようなものなのでしょうか?
この項で詳しくご紹介します。
3-1.火気厳禁
当然ですが、潤滑油を火気の近くで保存したり取り扱ったりしてはいけません。
潤滑油の発火点は高いですが、火気の近くに置いておけば潤滑油自体の温度が上がります。
ですから、より引火や発火をしやすくなるでしょう。
潤滑油はたとえ少量であっても一度火がつくと大きな火災になりやすいです。
ですから、倉庫の炭などに無造作に保管するのではなく、専用の保管庫に保存しておくとよいでしょう。
今は、すぐに備えつけられる保管庫なども販売されています。
また、注意プレートも下げておきましょう。
3-2.万が一引火や発火したときの備えとは
ご存じのように、油は水よりも軽いです。
ですから、発火した潤滑油に冷水をかけると、水に浮いた油が広がってかえって火災が広がってしまうでしょう。
なので、潤滑油が発火した場合は二酸化炭素や泡などによる窒息消火を試みてください。
これらの水以外の消火剤は、消火器に入って販売されています。
ですから、潤滑油を保管してある場所のすぐそばには、消火器を常備しておいてください。
また、消火器のない場所で火災が起きた際に役立つのが砂です。
砂を油にかければ酸素が補給できずに鎮火します。
ですから、もし消火器がすぐに用意できない場合や、消火器で消しきれなかったときのことを考えてバケツに一杯消化砂を用意しておくとよいでしょう。
3-3.危険物に分類される潤滑油とは?
潤滑油の中でも。ギヤー油やシリンダー油は危険物第4類の第4石油類に分類されます。
ですから。ギヤー油やシリンダー油を指定数量以上に保管したり取り扱ったりしている場合は、危険物取扱者の資格保持者を常駐させておく必要があります。
また、所轄の消防署への届け出が必要な場合もあるので、よく確認しておいてください。
なお、これらの潤滑油を多量に購入した場合は、メーカーなどから注意が行くと思います。
ですから、不用意に保管したり取り扱ったりしないように注意してください。
4.おわりに
いかがでしたか?
今回は潤滑油の種類や危険性についてご紹介しました。
潤滑油は、ガソリンや灯油と同じくらい私たちの身近にある可燃物です。
ご家庭でも機械に油を差すこともあるでしょう。
特に、バイクや自動車、さらにミシンなどがあるご家庭では潤滑油を使う機会も多いと思います。
さらに、工場などに勤務しているとメンテナンスのひとつとして、油を差すこともあるでしょう。
油自体もそうですが、油を取り扱って汚れた衣服や手袋、さらに皮膚なども火がつきやすくなっています。
特に、服を洗濯してそのまま乾燥機に入れると発火する危険性があるのです。
危険物に指定されていなくても、取り扱いには十分注意してください。
危険物取扱者の資格保持者がいる場合は、その方を保管責任者に任命する、という方法もあります。
また、危険物取扱者の資格を持っていなくても、取扱責任者になったら、保管方法には十分気を配りましょう。