エチレングリコールの危険物としての性質はどんなもの?

エチレングリコールとは聞きなれない名前ですが、不凍液として広く使われている物質です。
また、エチレングレグレゴールはアルコールの一種なのですが、消防法上は危険物第4類の第3石油類に分類されます。
そこで、今回はエチレングリコールの性質や特徴、さらに保管方法などをご紹介しましょう。
エチレングリコールは、工場などだけでなく一般の住宅にも保管されていることもあります。
ですから、不凍液が自宅にあるという方も、ぜひこの記事を読んでみてくださいね。

  1. エチレングリコールとは?
  2. エチレングリコールの性質や特徴とは?
  3. エチレングリコールの取り扱い方
  4. 石油類の覚え方
  5. おわりに

1.エチレングリコールとは?

エチレングリコールは、不凍液や溶媒などに広く使われている2価アルコールの一種です。
しかし、ヒドロキシル基(OH)が2基あるために、消防法上はアルコールではなく第3石油類に指定されています。
エチレングリコールは融点が-12.6度と比較的低いので、水冷エンジンの不凍液として広く使われているのです。
また、そのほかにもペットボトルや繊維のポリエステルの材料になります。
エチレングリコールは無臭ですが甘味(あまみ)があり、水によく溶けるという性質を持っているのです。
そのため、小さな子どもが不凍液を誤飲してしまった、という事故はいまだに起こっています。
エチレングリコールは毒性があり、腎臓障害がありますので誤飲事故が起こったらすぐに病院へ行きましょう。

2.エチレングリコールの性質や特徴とは?

エチレングリコールは、危険物第4類の第3石油類に分類されています。
消防法に定められた危険物は、その特徴や性質によって第1類~第6類にまでに分類されているのです。
第4類は、「引火性液体」といって文字どおり火を近づけると燃えやすい物質のこと。
私たちにとって最も身近な危険物であるガソリンや灯油もこの引火性液体の一種です。
さて、この引火性液体の中には、灯油やガソリンのほかにも石油製品がたくさん含まれています。
そこで、石油類は発火点や引火点が低い順に第1石油類~第4石油類にまで、分別されているのです。
エチレングリコールは引火点が111度、発火点が389度、沸点が197.9度とかなり高くなっています。
ガソリンの引火点が⁻40度ですから、それに比べるとその高さがよく分かるでしょう。
つまり、エチレングリコールは常温で保存しつつ火を近づけてもほとんど引火することはありません。
その意味では、アン税制の高い物質といえるでしょう。
しかし、石油類ですから揮発性はガソリンとそうかわりありません。
揮発とは、液体が蒸発して気体になること。
水は沸騰させないと気体になりませんが、石油類は常温でも揮発します。
つまり、引火性の気体が発生する恐れがあるということ。
石油類は揮発しても引火性は変わりません。
ですから、ガソリンを入れているところに火花などが散ると、空中に炎が上がることもあるのです。
エチレングリコールの引火点は111度ですから、通常温度では引火しません。
しかし、エチレングリコールが保管されている場所で火災が起こった場合はどうでしょうか?
気体となったエチレングリコールが炎上する恐れもあるのです。
また、エチレングリコールは甘味(あまみ)があって飲用しやすいので、誤飲事故が起こったり自分で飲んでしまったりする方もいます。
そのための対策も必要です。

3.エチレングリコールの取り扱い方

この項では、エチレングリコールの保管方法や火災が起こった場合の消火方法などをご紹介します。
ぜひ参考にしてください。

3-1.エチレングリコールの保管方法

エチレングリコールは、密閉容器に入れた上、通気性のよい場所に保管しましょう。
不凍液の場合は、買ってきた容器に保管しておけば大丈夫です。
ただし、容器が劣化しないように早めに使い切りましょう。
また、小さな子どもの手に届かない場所に保管してください。
さらに、あやまって飲んでしまった場合はすぐに病院に行きましょう
なお、容器が劣化してきた場合は、密閉できる容器に移し替えてください。
もちろん、火のそばに近づけてはいけません。
詳しくは化学物質等安全データシート(msds)を参考にしてください。

3-2.エチレングリコールが発火してしまった場合の対処法

エチレングリコールの消火には水によく溶けますので、冷却消火を行うとかえって火が燃え広がってしまう可能性があります。
ですから、二酸化炭素や消火剤による窒息消火を行いましょう。
水をかけるよりも効果的に火が消せます。
また、エチレングリコールが発火した場合は、必ず消防署へ通報する際に危険物取扱者の有資格者が行いましょう。
その際、エチレングリコールが発火していると伝えるのを忘れずに。
そうすれば、消防士は設備を整えて出動してくれます。
ご家庭で不凍液が発火した、という場合で消火器が手元にないという場合は砂をかけましょう。
砂をかければ窒息消火を行えます。
ですが、これはあくまでも非常用の手段です。
不凍液は火気厳禁で保管することを忘れずに。

4.石油類の覚え方

では、最後に危険物取扱者の資格試験にチャレンジする際、混乱しやすい石油類の覚え方についてご紹介しましょう。
引火性液体が分類されている危険物第4類は、通称乙4といって最も受験者が多い類です。
危険物取扱者は受験資格がいりませんので、受験する方も多いでしょう。
普段危険物になじみのない方は石油類の種類の多さに悩む方もいると思います。
ぜひこの項を参考にしてください。

4-1.分類は、沸点や融点の低い順になっている

石油類は、沸点や融点が低い順に第1~第4まで分類されています。
ですから、石油類の数字が低いものほど引火しやすく、発火する危険の高いものと覚えておけばよいでしょう。
ちなみに、ガソリンは第1、灯油は第2、そして重油はエチレングリコールと同じ第3石油類に分類されています。
第4石油類になると、普通のスーパーで売られている植物油なども含まれているのです。
植物油が危険物?と思う方もいるかもしれませんが、植物油が大量に集まったものが発火すると大変危険になります。
ちなみに、綿や紙、おがくずなど火がつきやすく燃えやすいものは、危険物ではありませんが自治体で保管方法などが定められているものも少なくありません。

4-2.特殊引火物とは?

特殊引火物とは、引火点が⁻20度以下で、発火点が100度未満のものを指します。
引火性液体の中で最も危険なものといってもよいでしょう。第1石油類より危険なものとして覚えておけば、混乱しません。
アセトアルデビドなど名前になじみのないものが多いですが、数は少ないので第1石油類よりも引火点沸点、発火点が低いものとイメージすれば覚えやすいでしょう。

5.おわりに

いかがでしたか?
今回はエチレングリコールの性質や特徴などをご紹介しました。
第3石油類にまでなってくると、常温ではほとんど引火も発火もしません。
ですから、ガソリンや灯油のように静電気にまで気を使わなくてもよいのです。
だからこそ、私たちの身の回りでたくさん使われているのでしょう。
しかし、一度火がついてしまえば消火が厄介なものであることは変わりありません。
ですから、いくら発火点や引火点が低くても、絶対に火気を近づけないように注意しましょう。
火気を近づければ液体の温度も上がるということも忘れないように。
不凍液を車内のよく日が当たる場所に長時間放っておくのも危険なのです。

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