危険物取扱者は、就職や転職に人気の高い資格のひとつです。実際に、採用試験のときに有利になったり、特別に資格手当てがもらえたりするなど、メリットが多い資格と言えます。しかし、危険物取扱者資格は資格取得をしたら完了ということではありません。資格取得後には、一定の条件によって免状の書き換えをする必要があることを知っておきましょう。もしも、忘れていたなどの理由で書き換えをしなかった場合は、業務に不都合をもたらすこともあるので注意してください。せっかくがんばって取得した資格なのですから、免状もきちんと書き換え申請をしておきましょう。今回は、危険物取扱者の書き換えに関して詳しく解説します。
- 危険物取扱者免状について
- 危険物取扱者の書き換えについて
- 危険物取扱者の書き換えの申請方法
- 危険物取扱者の書き換えに関するよくある質問
危険物取扱者の書き換えについては、記事を読むことで基本から理解できるようになります。特に、数年前に危険物取扱者の資格を取得した人は、免状の書き換えの準備をしておきましょう。また、最近取得した人であっても、何らかの理由で書き換えが必要なこともあります。まずは、記事の内容をじっくり読んで、将来書き換えが必要になったときに慌てないようにしましょう。今回の記事で危険物取扱者免状の書き換えの知識を身に付けた人は、実際の書き換えの手続きもスムーズに進めることができますよ。
1.危険物取扱者免状について
まずは、危険物取扱者免状についての基本を確認しておきましょう。自分でも意外と知らない内容もあるものですよ。
1-1.危険物取扱者免状の概要
危険物取扱者の資格取得をした人は、免状を申請する必要があります。理由としては、免状が業務を行うための証明書となるからです。なお、危険物取扱者の免状申請については、以下を参考にしてください。
- 免状の発行者:都道府県知事
- 免状の大きさ:縦5.4センチ×横8.5センチ(カード型)
- 免状の申請に必要な書類(新規取得の場合):免状交付申請書および試験結果通知書・392円分の切手を貼った免状送付用封筒
- 免状の申請費用:2,800円
資格試験に合格した人は、忘れずに免状を申請しておきましょう。なお、試験合格日から6か月以上経過した場合はもうひとつ注意事項があります。上記の必要書類に加えて、写真1枚(縦4.5cm×横3.5cmのサイズで正面から無帽・無背景・上三分身像で撮影したもの)も添付してくださいね。
1-2.危険物取扱者免状の必要性
危険物取扱者免状は、規定の資格試験に合格するレベルの知識や技術を習得している証拠となります。確かに、資格試験に合格した時点で相応の実力を持っていることは証明できるでしょう。しかし、第三者が納得するためには目に見える形での証拠が必要なのです。また、危険物取扱者免状は危険物の移送をするときに携帯義務があるため、申請をしていないと業務に支障が出ることもあります。
1-3.危険物取扱者免状の携帯義務について
危険物取扱者免状は、基本的には携帯義務がありません。従って、現場作業などの際に携帯していなくても罰則は無いのです。ただし、タンクローリー車などで危険物を移送する場合には、免状を携帯しなくてはなりません。なお、危険物の移送に関しては、危険物取扱者が運転もしくは同乗することが義務となります。危険物の移送の際に免状を携帯していない場合は、違反となりますので注意しましょう。
1-4.危険物取扱者免状に関するそのほかのこと
危険物取扱者免状は、本人写真付きの証明書です。しかし、携帯電話の契約などで写真付きの身分証明書として通用しないことが多くなります。危険物取扱者は国家資格のひとつであり、かつ、免状が都道府県知事によって発行になるにもかからず、公的な写真付き身分証明書としては機能しないのです。現時点では、危険物取扱者免状に記載するのは氏名・生年月日・本籍だけの情報となります。住所の記載が無い点で現住所確認ができないため、いろいろと不利になるのだと考えてください。
2. 危険物取扱者の書き換えについて
危険物取扱者の書き換えについて、覚えておくべきことや注意点などの基本的なことを解説します。今すぐ書き換えが必要なのか、チェックしてみてください。
2-1.書き換えが必要なときとは?
危険物取扱者の書き換えについては、以下の場合に必要となります。
- 写真の更新時期がやってきたとき
- 本籍地の変更があったとき
- 氏名の変更があったとき
- 住所の変更があったとき
上記のうち、写真の書き換えについては、原則として10年に1回となります。書き換え時期に危険物取扱者としての業務に当たっていなくても、申請手続きをしておきましょう。
2-2.免状の書き換えを忘れた場合はどうなる?
危険物取扱者の免状の書き換えを忘れた場合でも、資格が失効するわけではありません。そのため、もしも書き換え期限が過ぎていてもひとまず安心してください。また、書き換えを忘れたこと自体に罰則もありません。しかし、書き換えを忘れたことに気付いたらすぐに申請をしてくださいね。
2-3.危険物取扱者の書き換えに関する注意点
危険物取扱者の書き換えに関する通知はがきなどは、一切ありません。中には、10年経過する前には必ず通知が来るはずだと思い込んでいる人もいます。そのため、多くの人が書き換えを忘れてしまうのです。心配な人は、1年に1回自分の免状を確認して、取得もしくは前回の書き換えから10年経過していないことを確認しましょう。免状の書き換えは、手続きが面倒という理由で放置しがちです。しかし、常に現時点での正しい情報を登録しておくことを心掛けてください。
3.危険物取扱者の書き換えの申請方法
それでは、危険物取扱者の書き換えの申請方法について具体的に解説します。重要なポイントですからしっかり学んでください。
3-1.写真の書き換えについて
危険物取扱者免状の写真の書き換え方法については、以下を参考にしてください。
- 申請場所:一般財団法人消防試験研究センター都道府県支部
- 申請に必要なもの:免状の原本・書き換え申請書・写真1枚(縦4.5cm×横3.5cmのサイズで正面から無帽・無背景・上三分身像で撮影したもの)・392円分の切手を貼った免状送付用封筒
- 申請費用:1,600円
なお、申請場所については、居住地または勤務地の都道府県もしくは免状の交付を受けた都道府県の一般財団法人消防試験研究センター都道府県支部になります。写真の書き換えの場合は、規定のサイズ・条件で撮影したものを送ってください。規定外との判断が合ったときは、書き換えができません。
3-2.本籍地の書き換えについて
危険物取扱者免状に記載のある本籍地の書き換え方法については、以下を参考にしてください。
- 申請場所:一般財団法人消防試験研究センター都道府県支部
- 申請に必要なもの:免状の原本・書き換え申請書・書き換えの理由を証明する書類(戸籍抄本(しょうほん)、住民票もしくは公的機関が発行した書類)・392円分の切手を貼った免状送付用封筒
- 申請費用:700円
本籍地の書き換えの場合は、「書き換えの理由を証明する書類」が必要になることを覚えておきましょう。なお、前回の書き換えから10年以内の場合は、写真を送る必要はありません。
3-3.そのほかで書き換えが必要な場合
そのほかにも、結婚や離婚などで氏名に変更がある場合は、書き換え申請をしてください。また、免状に記載のある生年月日を変更する場合も書き換えすることになります。申請場所や申請に必要なもの・申請費用に関しては、本籍地の書き換えと同じなので参考にしてください。
4.危険物取扱者の書き換えに関するよくある質問
それでは、危険物取扱者の書き換えに関するよくある質問に回答します。どんな点につまずきやすいのか、しっかりチェックしておきましょう。
4-1.免状の携帯義務がある仕事をしている場合の書き換えの注意点は?
たとえば、タンクローリー車などで危険物を移送する職務に当たっている人は、危険物取扱者の免状を携帯する義務があります。つまり、免状を持っていることが、職務に当たるための条件となるのです。免状を携帯しないままで危険物の移送をすることは、法律違反となりますので絶対に止めましょう。しかし、免状の写真の書き換えをする時期になったら、免状のコピーを提出して新しい免状を受け取った後、古い免状を提出すれば問題ありません。
4-2.免状を紛失してしまった場合の書き換えはどうしますか?
免状を紛失してしまった場合は、書き換えではなく再交付の申請をしましょう。なお、再交付の場合は、下記を参考に手続きしてください。
- 申請場所:免状の交付もしくは書き換えをした一般財団法人消防試験研究センター都道府県支部
- 申請に必要なもの:再交付申請書・写真1枚(縦4.5cm×横3.5cmのサイズで正面から無帽・無背景・上三分身像で撮影したもの)・392円分の切手を貼った免状送付用封筒
- 申請費用:1,800円
なお、再交付申請の場合は、本人確認用として運転免許証などの公的な身分証明書の提示が必要な場合があります。詳しくは、申請手続きのときに問い合わせてください。
参考:一般財団法人消防試験研究センター・免許の再交付案内ページ
4-3.免状の書き換え申請の内容を間違って書いてしまった場合は?
すでに免状が手元に届いている場合は、再度書き換え申請をしてください。当然ながら、書き換え手続きや費用も同じように必要となりますので注意しましょう。書き換え手続きをするときには、申請書の記載事項に間違いが無いかどうか、何度も確認してから提出してください。なお、記載事項が正しくない免状は、無意味なものになります。間違いがあると気付いた時点で、すぐに書き換え申請を行ってください。
4-4.免状の交付を受けているか不明な場合でも書き換えの申請は必要ですか?
危険物取扱者の試験に合格した人は、そのままの流れで免状の交付を受けていることが多いです。免状は、資格取得を証明したものであるほか、危険物の移送の際には携帯義務がありますからね。しかし、中には免状の交付を受けていない人もいるのが事実です。もしも、自分が免状の交付を受けたかわからないときは、一般財団法人消防試験研究センターに問い合わせることをおすすめします。なお、書き換えが必要になるかどうかについてですが、交付を受けている事実が判明した場合は、再交付の手続きを取ってください。手元に免状が無いのは事実であるため、書き換えではなく再交付が妥当な扱いとなります。
4-5.危険物取扱者免状を持っている人が死亡した場合でも書き換え義務はありますか?
免状を持っている本人が死亡した場合は、書き換えをする義務はありません。危険物取扱者資格は、資格保持者が死亡した時点で失効します。しかし、資格取得者が死亡した場合、家族などが代理人として手続きをして免状を返納してください。なお、参考に千葉県の例を下記でご覧いただくとわかりやすいですよ。
参考:危険物取扱者および消防設備士免状の返納制度についての説明ページ
まとめ
危険物取扱者は、危険物の取り扱いに関する専門資格として幅広い業界から需要のある資格です。長年の間、高い人気を誇る一方で、写真の書き換えなどの申請手続きを忘れてしまいがちな資格でもあります。しかし、10年に1回は写真の書き換えが必要です。また、本籍地・氏名・生年月日など、現在持っている免状の記載内容を変更するべきときも、必ず書き換え申請をしてください。書き換えを忘れていても、現時点では法律による罰則はありません。しかし、免状は、自分が危険物取扱者であることを目に見える形で証明してくれる大切なものです。常に最新の情報になっていることが好ましいことには違いないため、書き換え手続きをきちんと行ってくださいね。