危険物取扱者は、学生から社会人まで人気のある資格です。取得したいと考えている人も多いことでしょう。
危険物取扱者には資格区分が多く、その中でも人気があるのが第4類危険物の取り扱いや保安監督が可能な乙種4類、通称乙4です。
今回は、危険物第4類の引火点・発火点・沸点の意味や違いを中心に解説しましょう。
この記事を読めば、危険物取扱者の取得方法や勉強のコツなども分かります。危険物取扱者の資格取得を目指している人は、ぜひ読んでみてくださいね。
第4類危険物の定義や種類
はじめに、第4類危険物に分類されている危険物の種類や特徴を紹介します。
第4類に指定されているのは引火性液体
第4類危険物に指定されているものは、引火性液体です。引火性液体とは、燃えやすい液体の総称であり、可燃性蒸気を発生させて空気と混合する性質を持ちます。この蒸気に点火源(種火、火花など)を近づけることで引火・爆発する危険が高い物質です。
引火性液体は水に溶けず水を用いた消火ができない
引火性液体には、以下のような共通の特徴があります。
- 可燃性蒸気は空気より重い
- 水に溶けず、水に浮く:そのため、冷水消火が不可
- 静電気を発生させやすい:静電気の火花で引火することもある
- 酸化剤と混合することによって爆発する危険がある
このような特徴を持つため、取扱や保管は注意が必要です。
第4類危険物は引火点によって分類される
引火性液体は種類が多いので、引火点によって以下のように分類されています。
- 特殊引火物:引火点が-20℃以下で、沸点が40℃以下
- 第1石油類:引火点が21℃未満
- 第2石油類:引火点が21℃以上70℃未満
- 第3石油類:引火点が70℃以上200℃未満
- 第4石油類:引火点が200℃以上250℃未満
引火点が低い物質ほど、常温で発火・爆発する可能性が高く危険な物質です。
第4類危険物は密閉した容器に保管することが大切
第4類危険物は、取扱方だけでなく保管方法も注意が必要です。気化すると可燃性の蒸気が発生するので、密閉できる容器に保管し、可燃性ガスがたまらないように風通しのよい場所で保管しましょう。また、タンク等に注ぐときは静電気を発生させないように流速を遅くすることが大切です。
第4類危険物は引火点を覚えておくことが大切
この項では、第4類危険物で引火点が重要視されている理由や発火点や燃焼点との違いを解説します。
引火点とは着火して燃焼する最低温度
引火点とは、着火して燃焼する最低温度であり、可燃性蒸気が爆発下限値の濃度に達する液温のことです。もう少し詳しく説明しましょう。着火して燃焼する温度とは火を近づくと自然と燃え出す温度のことです。引火点が高ければ、常温で火を近づけても引火しません。また、引火性液体は常に可燃性蒸気を発生していますが、引火点が高ければ火を近づけても爆発しないのです。つまり、引火点が低い第4類危険物ほど危険度が高くなります。
発火点・燃焼点・沸点と引火点の違い
危険物には引火点のほかに、発火点・燃焼点・沸点などが定められています。それぞれの定義は、以下のとおりです。
- 燃焼点:引火した危険物が燃焼し続けるのに必要な最低温度。一般的に引火点より高い
- 発火点:危険物が空気中で点火源がなくても発火する最低温度。一般的に引火点より高い
- 沸点:危険物が沸騰する温度。危険物の中には100℃未満で沸騰するものがある
危険物乙種4類は引火点や発火点などに関する問題が多く出題される
第4類危険物は、私たちの生活になくてはならないガソリンや灯油・軽油なども含まれています。危険物乙種4類の問題では、引火性液体に含まれる物質の、引火点・燃焼点・発火点・沸点などを問う問題がよく出題されるので、主なものだけでも暗記しておきましょう。また、前述したように引火性液体は引火点で分類されています。引火点を覚えることで、どこに分類されているかすぐにわかるようになるでしょう。
危険物取扱者乙種4類の資格取得方法
この項では、危険物取扱者乙種4類の資格取得方法を紹介します。
危険物乙4は試験を受けて取得する
危険物取扱者乙種4類を取得するには、消防試験研究センターが主催する試験を受けて合格しましょう。ちなみに、受験資格は必要ありません。年齢・性別・学歴・職歴に関係なく試験を受けることができます。講習などでは資格を取得できないので注意しましょう。
試験は学科試験で6割以上の得点で合格
危険物取扱者乙種の試験科目は、以下の3科目です。
- 危険物に関する法令
- 物理および化学
- 危険物の性質やその火災予防および消火の方法
3科目すべて60%以上の得点で合格となりますが、1科目でも60%未満の得点だと不合格になります。法令や物理と化学が100点でも、残り1科目が59点ならば不合格です。
試験は1年に複数回行われる
危険物取扱者の試験は、年に数回行われています。どの都道府県でも、最低年2回は行われているので挑戦しやすい試験です。また、東京や大阪などの大都市では、ほぼ毎月試験が行われています。ちなみに、1年に何度試験に挑戦してみてもよく、どの都道府県で試験を受けることも可能です。今月は東京、来月は埼玉で試験を受けても問題ありません。ただし、試験問題の持ち帰りは禁止されており、持ち帰りが分かった時点で不合格になります。
申し込み方法は電子申請が便利
初めて乙4の試験に挑戦する場合、消防試験研究センターのサイトから電子申請で受験申し込みをすると便利です。試験の日程や申し込みの期間はサイトを確認してください。ただし、すでに乙種のほかの類を取得している人が4類に挑戦する場合は、電子申請は利用できません。最寄りの消防署で願書を配布しているので、郵送で申込しましょう。ちなみに、すでにほかの類を取得している場合は受験科目の一部が免除になります。受験料は、3,400円です。
第4類危険物や危険物取扱者に関するよくある質問
この項では、第4類危険物や危険物取扱者に関する質問を紹介します。
Q.危険物取扱者丙種と乙種4類は何が違うのですか?
A.丙種は、引火性液体のうちガソリンや軽油・灯油など一部の取扱が可能ですが、保安監督業務は行えません。乙4の方が取り扱える危険物の種類が多く、できることもたくさんあります。
Q.危険物取扱者乙種4類があれば、転職や就職に役立つでしょうか?
A.乙種4類を取得できたらほかの類も挑戦してみてください。乙種4類だけ取得しているより転職・就職に役立ちます。
Q.第4類危険物以外は、引火点や沸点をそれほど気にしなくてもいいでしょうか?
A.全く知らなくてもよい、ということはありませんが、第4類が最も引火点・発火点に関する問題が多く出されます。
Q.危険物取扱者乙種4類だけ合格率が低いのはどうしてですか?
A.受験者数が多いので、合格率はどうしても低くなります。難易度が飛び抜けているわけではありません。
Q.危険物取扱者乙種4類を取得できたら、ほかの類も取得しやすくなりますか?
A.はい。乙種ならば一部試験科目が免除になるので取りやすくなります。
まとめ
ここまで読んでいただければ、引火点・発火点・燃焼点の違いや、引火点を覚える重要性が分かっていただけたと思います。引火性液体は引火点によって危険度が異なり、分類されているのでまず最初に覚えましょう。勉強が楽になります。