危険物取扱者の資格を取得すると、甲種はすべての類、乙種は取得した類の危険物を取り扱うことができます。危険物を取り扱う仕事に就いた際は、定期的に危険物取扱者保安講習を受けなければなりません。
そこで今回は、危険物取扱者保安講習とはどのようなものかということをご紹介します。受講しなければならない条件や、頻度、さらに受講しなかった場合はどうなるのかということもご説明します。
危険物取扱者の資格を取得している方や、取得を目指している方はぜひ読んでみてくださいね。
1.危険物取扱者保安講習とは?
まずは、危険物取扱者保安講習の内容や受講しなければならない条件などをご紹介します。危険物を取り扱う仕事をしている人は必ず理解しておく必要があります。
1-1.危険物取扱者保安講習とは?
危険物取扱者保安講習とは、消防法第13条の23の規定に基づいて危険物取扱の作業に従事している人が受けなければならない講習のことです。つまり、危険物取扱者の資格保持者で、職場で危険物を取り扱っている人は受講しなければなりません。資格を持っているけれど、危険物取扱の作業はしていないという人は受講の義務はありませんが、任意で受講することは可能です。
講習を受ける頻度は3年に1度ですが、資格取得後初めて危険物を取り扱う、という場合は仕事に就いてから1年以内に受講しなければなりません。しかし、過去2年以内に講習を受けたが、改めて別の場所で危険物を取り扱うことになったという場合は、仕事に就いた日から3年以内に受講すれば大丈夫です。
1-2.講習の内容は?
講習会はガソリンスタンド(給油取扱所)で働いている人とそれ以外の職場で危険物を取り扱っている人に分かれて、危険物関係法令に関する事項を1時間、危険物の火災予防に関する事項を2時間の講習を受けます。ガソリンスタンドで働いている人が独立して講習を受けるのは、それだけ人数が多く、かつ町中にあるためより厳重な管理が必要だからでしょう。約3時間の講習内容ですが、午前と午後に科目がわかれている場合もあるので、その日は1日開けておきましょう。
1-3.講習はどこで受けられる?
危険物取扱者保安講習は全国の都道府県ごとにある危険物安全協会連合会が主催しています。
各会のホームページを見れば、日程や会場が載っていますので、お近くの協会のものを確認してみましょう。
受講申請書は連合会や消防署などに置いてあります。受講したい場合は、申し込みの方法をよく読んで指示に従って申込書を提出し、受講料を振り込みます。職場で一括で受講する場合は、職場の規定に従って申し込みや受講料を振り込んでください。事情があって受講ができなくなっても受講料は返還されないことが多いので、受講の日に体調を崩さないように注意しましょう。
2.講習を受けないとどうなるの?
危険物取扱者保安講習は、危険物を取り扱う仕事に就いている以上必ず受講しなくてはなりません。もし、正当な理由なく受講しなければ、危険物取扱者の免許返納の対象になるかもしれません。何か正当な理由があって3年以内に講習を受けられそうにないという場合は、できるだけ早く最寄りの危険物安全協会連合会に連絡をし、対処策を相談しましょう。
3.定期的に講習を受けなければいけない理由
危険物というのは、扱いを間違うと発火したり爆発の危険性がある物質です。それを規定量以上取り扱っている施設や職場には、危険物取扱者の資格保持者を管理者として雇用しておかなければなりません。危険物というと、街から離れた工場などに保管されているというイメージがありますが、実際はガソリンスタンドなど、街中にたくさんの危険物を取り扱う施設があります。
万が一危険物が発火したり、爆発したりした場合は危険物取扱者の資格保持者は、速やかに消防に通報し、周辺の住民へ避難の指示をしなくてはなりません。危険物取扱者の資格を受ける際、火災予防に対する知識も勉強しますが、知識は放っておけば忘れてしまいます。そして、災害は忘れたことにやってくるのです。
たとえ3年に一度とはいえ講習を受けることで、自分が取り扱っているものは一歩間違えば大きな災害を引き起こすものだということを心にとどめておきましょう。そうすれば、事故を起こす確率もより低くなります。
4.講習以外に定期的な更新が必要なものは?
危険物取扱者は、講習以外も10年ごとに顔写真の更新が必要です。危険物取扱者の免許は他の国家試験の免許と違い、運転免許証のように写真が添付されています。しかし、人の顔は年とともに変わっていきますから、10年ごとに顔写真の更新が必要なのです。更新する際は一財消防試験研究センターで手続きが必要ですので、忘れずに行いましょう。
また、結婚や引っ越し等をして住所や名前が変更になった場合も免許の更新が必要です。これは忘れていても免許の返納の対象になりませんが、何らかの理由で危険物取扱者の免許提示を求められた際にややこしいことになります。
乙種を所持している人は、新たに異なる類を受験したい場合は、名前や住所が免許と住民票で異なっていると、まずは免許の更新を先に行わなければなりません。
たとえ危険物を取り扱う仕事に就いていなくても、免許の更新や変更は忘れずに行ってください。
おわりに
今回は、危険物取扱者の資格保持者が受ける危険物取扱者保安講習についてご紹介しました。 まとめると、
- 危険物取扱者の資格取得者で危険物を取り扱っている仕事に就いている場合は3年に一度講習を受けなければならない
- 新たに危険物を取り扱う仕事に就く場合は1年以内に講習を受けなければならない
- 講習を受けないと免許返納の対象になる場合もある
ということです。
危険物の中には、普通に取り扱っている限りはそれほど危険がないものもあります。しかし、いちいち鍵のかかった場所から取り出したり、他のものと分けて保管するのは面倒と扱いがずさんになると大事故の原因になるかもしれません。また、ガソリンスタンドは住宅が密集している地域で営業をしている場合もあります。ガソリンは非常に着火しやすい危険物ですので、より取扱に注意が必要でしょう。
また、この20年で日本は何度も大震災に見舞われています。特に東日本大震災のときの石油コンビナートの炎上は記憶に残っている方も多いことでしょう。危険物取扱者の資格保持者は、もしものときは、爆発炎上する危険物取扱所から従業員や付近の住人を避難させ、速やかに消防に通報しなくてはなりません。いくら資格保持者であってもこれをスムーズに行える人は少ないでしょう。ですから3年に1度の講習でもう一度すべきことを再確認してください。職場などで、もしものときの訓練をするのも良いでしょう。