灯油と軽油の違いは何? 引火点や保管法に差はあるの?

私たちの最も身近にある危険物といえばガソリンや灯油、軽油などの石油製品でしょう。ガソリンは自動車の燃料というイメージがありますが、灯油や軽油はなじみが薄いという方もいると思います。

そこで、今回は灯油と軽油の違いについてご説明しましょう。灯油と軽油は石油が原料ですが、目的別により引火点や含まれている物質が違うのです。また、保管や消火の仕方に違いはあるのでしょうか?危険物取扱者の資格取得を目指している方は必見です。

  1. 灯油と軽油、それぞれの特徴とは?
  2. セルフ式ガソリンスタンドでの注意点
  3. 軽油、灯油を自宅で保管する際の注意点
  4. おわりに

1.灯油と軽油、それぞれの特徴とは?

まず始めに灯油と軽油の特徴や違いをご紹介します。どちらも危険物第4類の第2石油類に分類されますが、どのような違いがあるのでしょうか?

1-1.灯油

灯油は、別名ケロシンといいます。主に石油ストーブや石油給湯器の燃料として使われるので、北国の方はなじみ深いでしょう。現在は、エアコンで冷房から暖房までカバーするお宅が増えていますが、寒い地域では石油ストーブがまだまだ活躍しています。

寒い地域ほど給湯器の燃料も石油というところが多いのです。灯油は引火点が40℃ですが、液温が40℃を超えると引火の危険がガソリンとほぼ同じになります。ですから不用意な場所に保管してはいけません。

霧状になったりガソリンと混合したりしても引火点が下がり、ほぼ常温でも引火する可能性があります。灯油が霧状になったりガソリンと混合したりするという状況は、あまりないかもしれません。しかし、ガソリンや灯油は気化しやすいのです。このふたつの危険物を並べて保管しておいたりすると、管理が悪い場合に気化して混じりあうことがあるかもしれません。

また、独特の臭気があり水に溶けず、なおかつ水より軽いです。ですから、万が一発火した場合は冷水消火ではなく、ハロゲン化合物や泡、二酸化炭素などを用いて窒息消火をします。
さらに、保管方法のポイントとして、静電気をさけガソリンと混合させないようにしましょう。

灯油は気化しやすいので蒸気をためないように、通気や換気をよく行いながら使用します。

1-2.軽油

軽油は、ディーゼルエンジンの燃料として用いられます。笑い話で「軽自動車は軽油を入れて動くものだと思っていた」というものがありますが、実際に行うとエンジンは故障するでしょう。気をつけてください。

軽油の発火点は灯油より高い45度です。また、灯油と同じようにガソリンと混じりあうと非常に引火しやすくなるので注意してください。さらに、霧状になっても引火しやすいです。軽油は灯油よりも気化しやすいので、保管する容器には注意しましょう。樹脂製のポリタンクでは、保管できません。ガソリンと同じように、密封できる金属製の保存容器が必要です。

灯油と軽油の共通点はまだまだあります。軽油も異臭がして水よりも軽く、水に溶けません。ですから、消火方法も灯油と同じものを使った窒息消火になります。「もし、灯油と軽油を同じ時期に買って見分けがつかなくなったらどうしよう?」と思われる方もいるかもれません。そんな方のために、軽油には淡黄色、もしくは淡褐色(たんかっしょく)に色がついています。ですから、同じような臭気を発する液体が二種類あった場合は、透明なガラスのコップなどに入れて色を見てください。

灯油は無色透明です。また、軽油には灯油よりも硫黄が多く含まれています。さらに、軽油の保管方法のポイントや使用の際は換気が必要ということも灯油と同じですので、覚える際に混合しないように注意してください。

2.セルフ式ガソリンスタンドでの注意点

最近は、セルフサービスでガソリンを入れるスタンドも増えてきました。セルフサービスのガソリンスタンドでは、自分でガソリンを車やバイクへ給油します。軽油も同じです。

軽油はトラックなどのディーゼルエンジンを積んでいる車の燃料として使われます。セルフサービスのガソリンスタンドは、店員が給油してくれるガソリンスタンドよりもリッターにして2円程度安いので、人気が高まっているのです。では、このセルフサービスのガソリンスタンドで、灯油が買えるというのはご存知でしょうか?

灯油は、冬になると移動販売車が回ってきますが、セルフサービスのガソリンスタンドで購入すればよりお得です。セルフサービスのガソリンを買うには、樹脂製のポリタンクが必要。ガソリンスタンドで販売しているところもありますが、ホームセンターなどで買っていった方がよいでしょう。

灯油は、ガソリンと同じように給油のスタンドがあります。そこでお金を入れてリッターを選択すれば大丈夫です。給油の前に静電気を逃すのを忘れずに。給油が終わったらポリタンクのふたをしっかり閉めて、こぼれないようにして持って帰りましょう。

なお、灯油をポリタンクいっぱい買った場合の重量は、かなりのものになります。徒歩や自転車では、持ち帰るのが大変でしょう。できるだけ車を利用してください。しかし、その一方でセルフサービスのガソリンスタンドで、ガソリンや軽油を自分で携帯用の容器に入れることはできません。

これは、消防法でセリフサービスのガソリンスタンドでは、顧客が携帯用の容器に直接ガソリンを入れることを禁じているからです。ですから、携帯用の缶にガソリンや軽油が欲しいという場合は、店員がいるガソリンスタンドにいきましょう。

3.軽油、灯油を自宅で保管する際の注意点

軽油を自宅で保管するという方はあまりいないかもしれません。しかし、灯油を自宅で保管する方は多いでしょう。灯油は樹脂製のポリタンクで保管されますが、この容器では長期間保存できません。あまり知られていませんが、灯油は劣化します。夏を越した灯油を使うと、暖房器具が故障する可能性もあるのです。北国では、自治体が灯油を樹脂製のポリタンクで保管しないように呼びかけていることもあります。

ですから、余った灯油はガソリンスタンドなどで引き取ってもらいましょう。しかし、金属製の保管容器に入っている灯油は保管できます。さらにガソリンや軽油を長期間保管する場合は缶詰が便利ですが、その期限も3年ほどです。保管期限が切れたガソリンや軽油は劣化している可能性が高いので、やはり始末しましょう。

4.おわりに

いかがでしたか? 今回は灯油と軽油の違いについてご説明しました。
まとめると

  • 軽油も灯油も危険物第4類の中の第2石油類に分類される。
  • 軽油の引火点は45度、灯油の引火点は40度。
  • どちらもガソリンと混合すると常温でも引火しやすくなる。
  • 灯油は樹脂製のポリタンクで保管できるが、軽油は金属製の携帯缶を使用しよう。
  • どちらの消火方法も窒息消火である。

ということです。軽油は使う場所が限られていますが、灯油は地域によってはガソリンよりも身近な危険物でしょう。しかし、灯油も扱いを間違えれば火事になりやすいことには変わりありません。万が一灯油が引火した場合は、冷水ではなく消火器で消火しましょう。消防車を呼ぶ際は、必ず灯油が発火していることを伝えてください。

また、危険物取扱者の試験では、灯油と軽油は同じ第2石油類で混同しやすい物質です。ですから、硫黄(いおう)の含有量が多く、引火点が高いほうが軽油と覚えておくとよいでしょう。

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