危険物保安監督者とは危険物を取り扱う会社などで安全を監督するために選任される人で、市町村に必ず届けなくてはならない決まりがあります。
初めて聞く人も多いと思いますが、危険物を扱う作業の安全を確保するためにとても重要な役割があり、厳しい条件をクリアしていなくては就けない仕事のため、危険物を知り尽くしてと言っても過言ではありません。
危険物保安監督者になるためには、危険物取扱者という国家資格を取得する必要があり、これはすぐに実践力になり高収入に繋がることで人気がある資格です。
最近は、工業高校や大学でも将来的に危険監督保安者になれるように、危険物取扱者の資格を取るように指導するところもあり、在学中に受験する人も多いようです。
それでは危険物保安監督者とは具体的にどのような人たちなのか、仕事内容や必要な資格を詳しくご紹介します。
1. 危険物保安監督者の業務とは
①危険物を取り扱う業務の指導、監督
- 危険物を取り扱う際には、作業員の小さなミスが大きな事故に繋がる場合があるので、作業の工程や方法が正しく行われているのかチェックし指導する。
- 施設内の維持管理の責任を負い、定期点検を指示し記録を付けさせる。場合によっては危険物保安監督者自ら記録を付ける事がある。
- 施設内の異常を知らせるための装置が異常時にきちんと作動するように管理する。
②異常があった場合に対応する
- 敷地内で火災や異臭などの異常が起こった場合に、速やかに対処し可能な場合は拡大を防ぐように努める。
- 異常が起きた場合に消防に連絡し、必要があると判断した場合は速やかに避難を指示する。
③近くの施設との連絡
- 災害時や異常が生じた際にすぐに連絡が取れるように、隣接する危険物を扱うような施設と連絡が取れるようにする。
- 消防と公共機関と連絡が取れるようにする。
実際に危険物を取り扱うのは当然資格を持った人ばかりではないため、危険物保安監督者の指導が不可欠になってきます。
万が一異常が生じた場合には速やかに対処し、被害を最小限に抑えると共に作業員の安全も確保する必要があります。
消防や近隣の施設と連絡をきちんと取れる状態にしておくことで、どこかほかの施設で災害が起こった場合でも被害が及ぶ前に施設内の安全を確保することができるのです。
2.危険物保安監督者が必要な事業所・必要としない事業所
①危険物保安監督者が必要な事業所
- 危険物などを作る製造所
- 屋外に危険物を貯蔵するためのタンクがある施設
- 車に給油する設備があるガソリンスタンドなどの施設
- ポンプなどを用いて危険物を移送する施設
具体的にはガソリンスタンドや製薬会社など危険物を常に貯蔵していてる事業所には必ず危険物保安監督者が選任され、その管理と指導をしなくてはいけないという決まりがあるのです。
施設が複数ある事業所ではその施設ごとに危険物保安監督者がいなくてはならないので多くの人材が求められています。
しかし、当然危険を伴う仕事を任されるので危険物に対してきちんとした知識を持ち、責任を持って業務をこなせる人しかできない仕事です。
②危険物保安監督者を必要としない事業所
・車両に固定したタンクに30.000L以下の危険物を貯蔵する施設(タンクローリー)
もちろんタンクローリーを運転する際に資格がいらないということではなく、あくまでもその事業所に危険物保安監督者が必要ないということです。
タンクローリーは、車両で危険物を運ぶので運転手に責任があるとされ、大型免許のほか危険物乙4免許を持っている必要があり、慎重かつ責任感を持って運転しなくては大きな事故につながります。
そのため、一般的に高い給料がもらえる所が多いようです。
③身近にある危険物保安監督者が必要な仕事
危険物を取り扱う職種の場合、各事業所に危険物保安監督者が選任されなくていけない決まりがあり、そのおかげで安全に仕事を進めることができるようになっています。
実は私たちが普段利用しているガソリンや灯油なども、とても危険で爆発や発火の恐れがあるため危険物保安監督者が安全に管理しており、もしかしたらいつも対応してくれるガソリンスタンドの店員さんが危険物保安監督者だということもあり得るのです。
このように考えると、かなり需要がある仕事と言って良いのではないでしょうか?
3. 危険物保安監督者に必要な資格
①甲種危険物取扱者
すべての危険物(第1種から第6種)の取り扱いができ、無資格者が作業をする際に立ち合いができる資格で、受験するにはこれらの条件のいずれかが必要です。
- 大学で化学の学科を専攻し卒業している
- 大学などで化学に関する科目を15単位以上取っている
- 乙種危険物取扱者の資格を持ち、なおかつ2年以上の実務経験がある
- 第1種か第6種、第2種か第4種、第3種、第5種の中から4種類以上の乙危険物取扱者免状を交付されている
このように、甲種危険物取扱者は厳しい条件を満たしている人しか受験資格が得られないのですが、合格すると危険物のエキスパートとして活躍できます。
また、受験科目が多く出題範囲も多いため、計画的に勉強を進める必要があり簡単に取得できる資格ではないのですが、それだけ責任ある業務に就くことができるということです。
②乙種危険物取扱者
免状を個別に取得し、その種の危険物のみの取り扱いと無資格者が作業をする際に立ち会うことができる資格です。
受験するための条件がないので誰でも受けることができ、自分が必要とする免状だけを取得できるので必要がない種の勉強に時間を費やすことがなく、短時間で資格習得を目指す人に向いている資格と言えます。
また、受験科目が少ないため甲種危険物取扱者よりは取得しやすいと言えるでしょう。
③実務経験
甲種危険物取扱者、乙種危険物取扱者どちらも実務経験が6か月以上が必要ですが、乙種の場合は取得したすべての免状の実務経験が必要なので注意しましょう。
甲、乙危険物取扱者の資格を持っていても、そのままでは危険物保安監督者の受験資格は与えられず、一度仕事に就いて実際に危険物の取り扱いを6か月以上経験しなくてはいけないのです。
ですから、仕事をしながらこ危険物保安監督者の資格を取るための勉強をする人も多く、自分の空いた時間を利用して通信講座や問題集を利用している人が多いようです。
また、資格を持ち危険物を扱う仕事に就いている人は、3年に一度講習を受ける必要があり、仕事に就けたからと言ってそれで終わりではなく安全に作業を行うための勉強はその後も続くのです。
まとめ
いかがでしょう?
危険物保安監督者についてお分かりいただけたはずです。
就職難の時代でも資格を持っていると、それだけで実践力になるために優遇される場合が多く、高収入にもつながります。
危険物保安監督者はとても大変な仕事ですが、それだけ必要とされやりがいを感じる人も多いようです。
この憧れの危険物保安監督者になるために必要な危険物取扱者の資格は難しい部分もありますが、毎年多くの人が受験し自分の将来に役立てているので、興味がある人は早めに受験資格や日時を確認してトライしてみてはいかがでしょうか?
一人で勉強をするのは自信がなく、何から始めたら良いのか分からない人も多いと思いますが、そのような人は通信講座での勉強が合っているかもしれません。
通信講座の良さは、講習のように決められた場所や時間に行く必要もなく、学校の勉強や仕事と両立しながら自分のペースで資格習得を目指せる点です。
孤独になりがちな受験勉強が、この方法ならば要点がしっかりわかり受験のために必要な内容を短い時間で覚えることができるのです。